近年、大規模災害が多数発生しており、年々その数は増加傾向である。日本においても阪 神・淡路大震災以後、毎年、地震や水害、噴火災害が報告され、私たち看護職者は誰もが災
害時の看護支援に関わる可能性が高いことがわかる。災害看護に関する国内外の報告を見ると、災害看護構築に向けて事例検討、実践報告、調査報告など様々なジャンルの研究が積み重ねられている。
著者らの研究からも、今後の災害看護の課題として、①Seamless(シー ムレス)な看護の必要性、②対象者を個人から家族単位としてとらえ支援することが重要であることがわかっている。そして、この 2
点を実施することにより、被災者の QOL 向上につながることが示唆されている。被災体験のある家族は、被災後の生活再建をめぐり、環境や役割、社会的・心理的な状況の変化を伴う家族システムの変化を経験することとなり、この時期は健康危機が生じやすく、家庭の安定と健全な家族の再構築への支援が我々、看護職に求められる。
本研究の目的は、被災体験をもつ家族の複合的でダイナミックな家族シス テムの変化を明らかにし、健全な家族の再構築を支援する具体的で実践可能なケアを提示することである。